スライス大好きなジロギン(@akiramenaiuta)です。
テニスの技術の1つスライスショットは試合中などに使えばとても有効なショット。
しかし、スライスについてこのように感じている初心者プレーヤーは意外と多いです。。
- どんな時にスライスを打てばいいのかわからない
- スライスを打つのはダメだとコーチから言われることがある
- スライスはラリーから逃げているような気がする
今回はスライスを打つ基本的なコツや、スライスに対する考え方を変え、試合でもバリバリ打てるようになる内容をお届けします。
✔︎スライスは守備にも攻撃にも使えるショット
✔︎スライスを使うタイミングを知るとさらに有効
✔︎スライスに対するネガティブイメージを変える
スライスショットの効果
まずは、スライスショットにどんな効果があるのか見てみましょう!
主に以下の4つの効果があり、試合でも使いどころによっては超有効なショットとなるのです。
ボールの滞空時間が長く、時間を稼げる
スライスショットはボールに逆回転をかけて打つショットです。ボールは風に乗っているかのように滞空時間が長くなります。
トップスピンはボールに上方向の回転を掛けるので、急速に落下しますが、スライスはその反対です。
ボールが長い時間浮き続けることで、ラリー中に時間を稼げます。後で説明しますが、これはラリーのスピードが速い時などに役立つのです。
バウンドが低くなり打ち返しにくい
ボールに逆回転のかかっているスライスショットは、地面との摩擦でバウンドが低くなります。
ボールに横回転(サイドスピン)をかければ、バウンドが低くなるだけでなく、左右に変化させることもできるのです(ちょっと難しいテクニックが必要ですが)。
バウンドの高さが変わって打点が狂わされてしまいますし、ボールを持ち上げるように打たなければネットしてしまいます。スライスは相手からすると、とても打ちにくいショットでしょう。
こんな感じになります。
バウンドしたボールが滑るように伸びる
後ほど紹介する打ち方をすることで、スライスはバウンドした後に滑るように伸びるショットとなります。
バウンドが低いボールがさらに伸びてくれば、相手はさらに打ち返しにくいです。強打を防げることでしょう。
「ロブ」や「ドロップショット」などと組み合わせて強化する
スライスは滞空時間が長くなるという点で、ボールを大きく上空に打って時間を稼いだり、相手の陣形を崩したりする「ロブ」とも相性がいいです。
ロブにスライスをかけることで浮かび上がったボールが急速に落下するロブとなります。
また、先ほどのサイドスピンを相手コートに短く落とす「ドロップショット」と合わせて使うことで、より返しにくいショットに強化(というべきだろうか?)することもできます。
このように、通常のストローク以外にも組み合わせて使うことで、より戦術を広げつつことができるのです。
(スライスロブとドロップショットについては記事の後半にて詳しく解説します)
以上4つの効果を理解しておいてください。これだけでも、けっこう使い勝手のいいショットだと思いませんか?
だんだんと、スライスを打ってみたい気持ちになってきたはずです。
では、スライスの打ち方を基本から知りたいという人向けに、スライスショットの打ち方やコツについて解説します(すでに知っているという方は次の項目まで飛ばしても構いません)。
初心者でできるスライスの打ち方やコツ
フォアハンド、バックハンド、両方でのスライスショットの基本を解説します。
その前提としてフォア・バックともコンチネンタルグリップかイースタングリップで握るということを忘れないでください。
包丁を握るときと同じグリップです。
スライスショットのイメージは、「ラケットの上に乗せたボールを包丁で薄く切るように打つ」ことです。ですので、包丁のような握り方と覚えておきましょう。
この方がスライスをかけやすいです。
フォアハンドスライスの打ち方
スライスは基本的に、ボールが当たる瞬間は面はまっすぐかやや上向け。当たったら面を上に向けてボールをラケットの上に乗せて運ぶような形で回転をかけます。
打点は体に近い方がいいですね。
この打ち方の場合、ボールがバウンドした後に伸びていくスライスになります。
回転を多くかけてバウンドを変化させたい場合は、ボールを打つ前からラケットを上から下に、文字通り切るように打つといいでしょう。
この打ち方は回転こそかかるものの、ボールが宙に浮きやすい点も注意してください。ダブルスなどの場合、浮いたボールは前衛にポーチされやすいです(私もガンガンポーチしに行きます)。
バックハンドスライスの打ち方
バックハンドのスライスショットも打ち方はフォアハンドと同じです。
ボールが面に当たる前までは面は縦に、当たったら面を寝かせて運ぶように打つ。
フォロースルー(振り抜き)が長くなる片手バックハンドの方が回転をかけやすいです。
両手バックハンドでも問題なくできるのですが、回転量は片手バックハンドの方が上になるでしょう。
私も普段は両手バックハンドですが、スライスを打つときだけ片手に切り替えます。
片手バックハンドは体から遠いボールにも届きやすいですし、体に自由が効きやすい分、とっさにスライスを打つにのも楽なんですよね。
ただ、両手から片手に打ち方を変えると、相手に「スライスを打ってくる」とばれてしまいやすいです。テイクバックまでは両手で、打つ瞬間に片手に切り替えるというような工夫が必要ですね。
ソフトテニスのスライスも同様(カットしすぎに注意)
ソフトテニスでもスライスの打ち方は同じと考えていいでしょう。私もソフトテニス時代とそれほど変わらないイメージで、硬式でもスライスを打っています。
ソフトテニスはボールが柔らかい分、スライスもかかりやすいです。「カットサーブ」のようにボールをカーブさせて飛ばすこともできます。
ヘビのようにカーブするショットなんて超カッコいいですよね。硬式でやろうとしても、なかなか難しいです。
ただ、カットしすぎには注意です。ストロークでボールをカットする打ち方がないわけではないですし、時には有効な打ち方になるかもしれません。
その上で、カットさせればさせるほど球速は遅くなるということもお忘れなく。ソフテニは基本的にダブルスの試合ですから、ボールの軌道が読まれれば相手前衛にボレーされてしまうでしょう。
スライスを使うタイミングの例
スライスの効果、打ち方がわかったら、次は「タイミング」ですね。
スライスが使えるショットだからといって、むやみに打っていてもポイントにはつながりません。むしろ相手にチャンスボールを与えてしまうことも・・・
どんな時にスライスを打てばいいか理解することで、初めてスライスは有効なショットとなります。
以下は私が実際にスライスを使うタイミングです。全部で10個と、そこそこ数が多いので簡単にポイントだけ説明していきます。
ラリーのテンポが速い時
相手のショットが速く、ラリーのテンポも速くなっているなと感じ時こそスライスの出番です!
滞空時間の長いスライスを打つことで以下のような効果が得られます。
✔︎相手のテンポを乱すことができる
✔︎テンポが乱れたことでミスを誘える
自分の体勢を立て直す「守りのショット」になるだけでなく、テンポをずらして相手のミスを誘う攻撃のショットにもなってくれるのです。
防御は最大の攻撃・・・って感じですかね。
強いショットを打ち込まれた時
速いテンポのラリーだけでなく、相手から勢いのあるショットを打ち込まれた時もスライスが有効です。
相手の強打を無理やり返せばミスしやすいですし、うまく返せても相手のテンポに引きずられやすいです。
スライスで打ち返すことで時間を稼ぐことができ、体勢を整えられます。
左右に走らされている時
左右に走らされている時にもスライスを使ってみてください。
走らされている時は、体勢を整えて打つのは難しいです。しっかりトップスピンをかけて返すこともできなかもしれません。
スライスは、正直なことを言うと「手先のコントロール」だけでも打ててしまうショットなのです。うまく体勢が整わない時でも、ボールに下回転をかけられれば、ボールが伸びて相手コートまで割と届きます。
追い込まれた時の粘りの手段として、スライスを使ってみましょう。ラリーをつなげられれば、相手がミスってくれるかもしれません(初心者同士の試合だと特に)。
ネットに出る時(アプローチショット)
ネットに出るために打つショットのことを「アプローチショット」と呼びます。相手の体勢を崩したり、打ち返しにくいコースにショットし、ネットに出るスキを作るのが「アプローチショット」の役割です。
相手が打ち返しにくいショットを言うと、スピードのあるショットをイメージしますよね。もちろん、自分が強打した後にその勢いでネットに出てもいい問題ありません。
ただ、このアプローチショットとしてスライスも役立つのです。
スライスは滞空時間が長くてバウンドが低く返しにくいボール。つまり「自分がネットに出るまでの時間が稼げて、相手から強打されにくい」という、まさにアプローチに向いているショットなのです!
スライスでコートのコーナーを狙ったり、相手が強打しにくいバックハンドを狙ったりすることで、強力なアプリーチショットになります。
私もよくネットプレーをするのですが、アプローチのためにスライスを使いまくります!
5回ネットに出るとしたら4回はスライスでアプローチしますね。自分で打ち込んでミスするリスクもないですし、相手からのショットも強くなりにくいしで、いいとこずくめです。
トップスピンの調子が悪い時
これは私がトップスピンを苦手としていることも原因かも・・・
トップスピンの調子が悪くてアウトしたり、ネットしたりするときはスライスに切り替えちゃったほうがいいです。
同じ人が打つならば、トップスピンのほうがショットの威力・スピードともにスライスより上なのは間違いありません。でも相手コートに入らなければ残念ながら無意味!!
スライスでも戦えないわけではないですし、ストロークの大半をスライスで打つ選手はプロアマ問わずいます。
決して武器にならないわけではないので、ストロークの選択肢として常にスライスを考えておくといいでしょう。
ドロップショットを打つ時(サイドスピン)
スライス回転、というよりサイドスピンはドロップショットと相性がめちゃくちゃいいです!いや、是非セットで使えるようになっておきたいショットですね。
ドロップショットとは、ネット際に短く落とすショットのことです。相手の意表をつくショットとしてプロでも使う選手がたくさんいます。
ドロップショットを打つ時に、ボールを上から下に切るようにすると、ボールに横向きの回転がかかります。すると、回転のかかったボールは摩擦でバウンドが小さくなるだけでなく、バウンドする方向も横方向に変わるのです。
ただでさえボールが短くなるドロップショット。さらにバウンドまで小さくなったら相手は取りにくくて仕方ないでしょう。
錦織選手も試合中にドロップショットを使いまくります(『テニスの王子様』世代はドロップショット大好き)。錦織選手のドロップもサイドスピンがかかっていて、とても取りにくそうです。
急速に落下するスライスロブを打つ時
ロブにスライスをかけた「スライスロブ」はシングルスでもダブルスでも超使えます!
スライスロブは滞空時間が長いので、時間を稼ぐにはうってつけです。
しかもボールが浮かび上がった後、勢いがなくなって急速に落下するので、アウトもしにくい。普通のロブ以上に使い勝手がいいと思います。
室内だと天井があってロブを高く打ち上げられないので、スライスロブが使いにくいかもしれません。
ただ屋外で使うと、効果を発揮!特にスマッシュを打とうとしている人はロブの滞空時間の長さや落下ポイントが読みにくいことから打ちにくいロブになるはず。
ミスを誘う上でもかなり有効です。
ボレーでコートの深い位置を狙う時
初心者の方は「ボレーはラケットで壁を作ってボールを当てるだけ」と習ったかもしれません。
基本的にそれで問題ないのですが、先ほど紹介したスライスの打ち方の要領でボレーに回転をかけると、コートの深くまで届く攻撃的なボレーができます。
ボールが当たった瞬間、ラケット面にボールを載せるように少しだけスイングする。するとボレーにもスライス回転がかかります。
特に打点が高くなるボレー(ハイボレー)を打つ時は、スライスをかけるとボールが沈むような軌道を描いてコートに入りやすくなります(ってコーチに教わりました)。
でも、ボレーで狙う位置はサービスラインの付近がベストです。あまりに深くまで狙うとアウトしやすいので。
ボレーのコースについては以下の記事でも詳しく解説しています。
速いサーブをリターンする時(ブロックリターン)
相手の打ったサーブがフラット系の速いサーブだったとします。そのサーブを力一杯ラケットを振って打ち返そうとすると、リターンに勢いがつきずぎてアウトしやすいです(私も一時期悩んでました)。
そのような場合は、サーブをラケットに当てて返す「ブロックリターン」がおすすめです。
打ち方はほぼボレーと同じ。相手のサーブを踏み込むようにしてラケットに当てて、ラケットの反発力で打ち返す。
この時にも、スライスをかけることで相手にすると打ち返しにくいリターンへと変えることができます。
ブロックリターンについては以下の記事で簡単に解説しています。
以上の10個のスライスの使いどころを紹介しました。
もちろんこのほかにも有効なタイミングはあるのですが、まずはこの10個を意識してみてください。
スライスに対するネガティブなイメージを変える
では最後に、「スライスはラリーから逃げている」と感じていたり、「コーチからスライスを打つな」と言われたりしたことのあるという方の考え方を変えるヒントを書いていこうと思います。
ここまでスライスの魅力を語ってきた私ですが、実はかつて「スライスは逃げ」と思っていた1人。ある経験が私に「スライス=ネガティブなもの」というイメージを植え付けるきっかけとなったのですが、それは時間が解決してくれました。
スライスは有効なショットだと考えるようになった
高校時代、部内の順位決め試合を行った時のこと。私のシングルスの試合中に雨が降ってきたんですね。
雨が降るとボールは水を吸って重くなり、バウンドも小さくなります。それを知った相手選手が、スライスでドロップ系のショットばかり使ってきたんです。
結局私は敗北。そして「スライス=卑劣な技」みたいなイメージがついてしまいました(その相手とは5〜6回部内で試合をし、その時だけ負けましたがあとは全勝しました)。
でもこれは私が敗北を正当化し、原因をスライスに押し付けていたに過ぎません。
ボールが跳ねにくい雨の中でスライスやドロップを使う。これは勝つための戦略です。
なんなら、相手も私も同じ条件で試合をしていたわけですし、私だってスライスを使いまくれば勝てた可能性はありました。
当時はまだケツの青い若僧で、感情的になる部分も多かったです。でも今考えれば、それだけスライスは有効なショットなのだと理解できます。
社会人になってテニスを始めた今は、スライスによる苦い過去を自分の強みにするよう考え方を改められています(当時からちょっとは成長したんですね)。
ジロギンの得意ショットもスライス
過去の私に苦い記憶を植え付けたスライスですが、今では私の得意ショットの1つです。
先ほど書いた通り、私はアプローチショットのときにスライスを使いまくります。
高校時代から8年以上たった今、スライスのありがたみを強く感じていています。スライスからのネットプレーは私の得点源です(これがないとマジで勝てないの…)
今の自分の体験からも、スライスはたくさん練習するべきですし、試合中にどんどん使っていくべきでだと思っています。
今のテニスコーチの指導が全てではない
中には、「通っているテニスコーチがスライスを打たせてくれない」という人もいるかもしれませんね。最近はそういう「謎のこだわりを持っている人」は減っていると思いますが…0ではないでしょう。
そのコーチはもしかしたら、過去に私のような経験をして、そのまま考え方を変えていないのかも。
今のコーチの指導方法が全てではありません。特に「スライスは打つな」みたいな極端な意見は疑った方がいいでしょう。
現に私の通うスクールでは、毎週ではないもののスライスショットを練習することがあります。他のスクール、コーチによってはスライスを初心者にも当たり前のように教えていることです。
コーチの言い分が100%間違っているわけではないとしても、あなたの考え方とコーチの方針があっていない可能性はとても高いです。
可能であれば、別のコーチに変えてもらうなどの方法をとったほうがいいでしょう。
https://jirogin.com/2018/08/20/テニススクールの初級者クラスでやっている練習/
コーチは「スライスばかり打つクセをつけて欲しくない」のかも
「スライスを打つな」というコーチの意見を冷静に判断するならば、「スライスばかり打つクセをつけて欲しくない」のかもしれません。
スライスは確かに効果的で打ちやすいです。体勢が乱れても打てるのは大きなメリットだと先ほども説明しました。
ただその分、スライスで打てることがわかるとスライス頼りになってしまい、基本的なフォームが乱れてしまう可能性があります。
スライスで打つクセがついてしまい、トップスピンをかけるフォームを忘れてしまうことを、コーチは避けたいのでしょう。
スライスは攻撃にも使えますが、やはりストロークにおいて一番の攻撃手段であり基本となるショットはトップスピンをかけたストロークです。
テニススクールがテニスの基本を身につける場ということからも、コーチは練習中だけフォーム定着のためにスライスを禁止していることが考えられます。
とはいえ、自分だけでなく他の生徒から見ても明らかにコーチの指導がおかしい場合は、対策をとるべきです。
私も子供の頃、スクールのコーチに色々やられた過去があるので、コーチの指導に疑問を持つ気持ちはよくわかります(今のコーチは教える内容も理にかなっていてとても満足しています)。
まとめ:スライスは超使えるショット
スライスは主に防御、そして私のようにネットプレーをする人にとっては攻撃の手段としても使える超便利なショットです。
「スライスを使うのは卑怯だ」とか「相手に迷惑がかかるな」などと考えすぎる必要はありません。
得意不得意はあるにしても、スライスはプレーヤーがお互いに打てるショット。ルール違反でもマナー違反でもありません。
使うべきタイミングがあったらどんどん使っていきましょう。